「睡眠は十分取っているし、貧血でもない。でも常に疲れている」

このような慢性疲労を抱えるビジネスパーソンに見落とされがちなのが、フェリチン(貯蔵鉄)の低下です。

フェリチンとは何か

鉄は体内で2つの形態で存在します:

  1. ヘモグロビン鉄:赤血球内で酸素を運ぶ鉄。通常の血液検査で測定される
  2. フェリチン(貯蔵鉄):体内の鉄の「備蓄」。肝臓・脾臓・骨髄に蓄えられる

一般的な健康診断では「ヘモグロビン」や「血清鉄」を測定しますが、フェリチンは測定しないことがほとんどです

このため「貧血ではない(ヘモグロビン正常)」でも「フェリチンが枯渇している」という状態が見逃されます。

フェリチムが低いと何が起きるか

フェリチンは細胞のエネルギー産生(ミトコンドリアの機能)に不可欠です。不足すると:

  • 慢性的な疲労・だるさ(最も多い症状)
  • 集中力・思考力の低下
  • 運動時のパフォーマンス低下
  • 息切れ・動悸(貧血未満でも起きる)
  • 抜け毛・爪がもろくなる
  • 気分の落ち込み・イライラ
  • 睡眠の質の低下(むずむず脚症候群との関連)

特に女性(月経による毎月の鉄損失)、菜食主義者、激しい運動をする人はフェリチン低値になりやすい傾向があります。

フェリチムの適正値

| フェリチム値(ng/mL) | 状態 | |---------------------|------| | 12未満 | 鉄欠乏(貧血に進行しやすい) | | 12〜30 | 低値(症状が出る可能性) | | 30〜100 | 正常範囲 | | 100〜200 | 最適範囲(多くの機能医学医師が推奨) | | 300以上 | 過剰(炎症の可能性も) |

重要なのは、「正常範囲内」でも30〜40 ng/mL程度では疲労症状が出る人が多いという点です。医師が「正常」と言っても、機能的な「最適値」とは異なります。

フェリチムを測定する方法

フェリチムは通常の健康診断には含まれていませんが、クリニックで単体測定が可能です(500〜1,500円程度)。

「疲れやすい・集中できない」という症状がある場合、かかりつけ医に「フェリチムも測定してほしい」と依頼するか、自費で測定できるクリニックを利用します。

フェリチムを改善する食事と補充

食事からの鉄摂取

| 鉄の種類 | 食品 | 吸収率 | |---------|------|-------| | ヘム鉄(動物性) | 赤身肉・レバー・あさり・カツオ | 15〜35% | | 非ヘム鉄(植物性) | 小松菜・ほうれん草・豆類・ひじき | 2〜8% |

吸収を高めるコツ:

  • ビタミンCと一緒に食べる(非ヘム鉄の吸収率が3倍に)
  • タンニン(緑茶・コーヒー・赤ワイン)は食事と同時に摂らない(吸収を阻害)
  • カルシウムと一緒に摂らない(競合して吸収が低下)

サプリメント

フェリチムが30 ng/mL未満の場合、食事だけで回復させるのは時間がかかります。医師の指示のもとで鉄サプリメントを使うのが現実的です。

ただし、鉄の過剰摂取は酸化ストレスを高めるため、自己判断でのサプリ摂取は避け、測定値をもとに医師と相談することを推奨します。

データで疲労の原因を特定する

「常に疲れている」という状態は、睡眠不足・ストレス・フェリチム低値・ビタミムD欠乏・甲状腺機能低下など、複数の要因が重なっていることが多いです。

血液検査(フェリチム・ビタミムD・甲状腺ホルモン)+HRV・睡眠データを組み合わせることで、疲労の原因を絞り込めます。megulus で日常の健康データを記録しながら、定期的な血液検査と組み合わせた「データドリブンな疲労管理」を実践してみましょう。