「魚を食べると体に良い」というのは広く知られていますが、なぜ良いのかを説明できる人は少ないです。その中心にあるのが、EPA・DHA(オメガ3脂肪酸)による炎症の調節です。
脂肪酸の種類と炎症への影響
食事から摂る脂肪酸は、大きく3種類に分けられます。
| 種類 | 代表的な食品 | 炎症への影響 | |------|------------|------------| | オメガ3(EPA・DHA・ALA) | 青魚・亜麻仁油・チアシード | 抗炎症 | | オメガ6(リノール酸) | サラダ油・大豆油・コーン油 | 過剰摂取で炎症促進 | | 飽和脂肪酸 | バター・ラード・ヤシ油 | 過剰摂取で炎症促進 |
現代の日本人の食事では、オメガ6の摂取量がオメガ3の約10〜20倍に達することが多く、このアンバランスが慢性的な低悪性炎症を引き起こす一因とされています。
EPAとDHAの役割
EPA(エイコサペンタエン酸)
- プロスタグランジン・ロイコトリエンの合成調節:炎症を促進する物質の産生を抑制
- 血小板凝集の抑制:血液をさらさらに保つ
- 心血管リスクの低下:冠動脈疾患の予防効果が研究で示されている
DHA(ドコサヘキサエン酸)
- 脳・神経細胞の構成成分:神経細胞膜の約40%がDHA
- シナプス可塑性の維持:学習・記憶・気分の安定に関与
- 網膜機能の維持:眼の光受容体に高濃度で存在
- 抗炎症メディエーター(レゾルビン・プロテクチン)の生成
DHAは脳の機能に直接関わるため、集中力・気分・認知機能の維持においても重要です。
摂取目標量
EPA + DHA合計:1〜2g/日
これは研究で効果が示されている量の目安です。
食品からの摂取
| 食品 | EPA+DHA(100gあたり) | |------|---------------------| | サバ(生) | 約2,100mg | | イワシ(生) | 約2,100mg | | サンマ(生) | 約1,800mg | | マグロ(赤身) | 約120mg | | 鮭(生) | 約900mg |
サバ・イワシ・サンマを週2〜3回食べることで、目標量に近づけられます。ただし、毎日青魚を食べる習慣を持ちにくい人も多いです。
ALAからの変換効率
植物性オメガ3(亜麻仁油・チアシードに含まれるALA)はEPA・DHAに変換されますが、変換効率は5〜15%程度と低く、食品からのEPA・DHAには代替できません。植物性食品から摂る場合は補助的な位置づけになります。
サプリメントの使い方
対象:青魚を週1回未満しか食べない人、または強化したい人
選び方のポイント:
- EPA+DHAの合計含有量を確認(1粒あたり500mg以上が目安)
- rTG型(再エステル化トリグリセリド) はEE型(エチルエステル)より吸収率が高い
- 酸化防止のため、製造日から近いものを選ぶ
- 保存は冷蔵庫推奨
摂取タイミング:食後(脂溶性のため、脂肪と一緒に摂ると吸収率が向上)
オメガ6とのバランスを整える実践的な方法
減らすもの(オメガ6の多い油)
- サラダ油・大豆油・コーン油・キャノーラ油
- スナック菓子・ファストフード(これらの油が使われていることが多い)
増やすもの(オメガ3の多い食品)
- 週2〜3回の青魚(サバ・イワシ・サンマ・鮭)
- 亜麻仁油・えごま油(加熱に弱いのでドレッシングや仕上げに)
- くるみ(ALAが豊富)
加熱には別の油を使う
亜麻仁油・えごま油は熱に弱いため、加熱料理にはオリーブオイル(オメガ9・中性)またはバター・ラード(飽和脂肪酸は加熱に安定)を使い、オメガ3系の油は生食用に留めます。
HRVと炎症の関係
慢性的な低悪性炎症は、HRVを低下させることが研究で示されています。炎症マーカー(hsCRP)が高い人はHRVが低い傾向にあり、抗炎症食・オメガ3摂取によってHRVが改善するという報告もあります。
megulus の食事ログでオメガ3摂取源(青魚・えごま油等)を記録し、HRVの長期トレンドと照らし合わせることで、食事パターンと回復力の関係を把握できます。